2010年06月06日

天使のいない12月

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 なんと1日でやりきってしまったぜっていう。そんなに長いゲームじゃないです完全クリア10時間ちょいかな?1キャラ2時間まではかかってないと思う。

 まず最初に言う、良ゲー。感動泣きゲーでもないし、切ないでもない。欝要素もない、ただただリアルに。
 エロゲーには珍しい、リアル嗜好。どこにでも転がっていそうな、そんな物語です。

 絵もキャラも可愛いし好きだけど、キャラ萌えとかそういう物は一切なし。ただリアルに辛い現実と人間関係、暗い物語です。それが、俺にはたまらなくツボ。前評判見て、これ俺好みだな〜とは思って買いましたがやはり俺の好み過ぎる。
 萌えゲーやHappyEnd、純愛ラブラブが好きな人には絶対合わないだろう人を選ぶ作品。でも、俺は大好き。


 以下ネタバレストーリーにも少し踏み込んだレビュー兼総評。







 アマゾンレビューだと主人公に感情移入できないって感想が多かったけど、全然そんなことはなかった。俺はね。人生かなり斜に構えて、生きる意義を見失ってる主人公。高校生でこれはねーなwとは思うけど。今の日本でこういう人多いんじゃね?20代半ばから30くらいまでの男は特に。

 主人公、各ヒロインとりあえず精神的におかしいです。俺の年代もあるだろうけど、処女童貞でその思考回路はないわ〜とは思う。ある程度の恋愛経験からそういう方向に思考が流れちゃった大学生20代とかならリアルだけどね。高校生でこれはな〜w
 という突っ込みはあるけど、まぁリアルだよ。

 ”人と人のつながり”っていうのが全面に出てる作品。心が繋がるって表現が作中でも何回も出てくる。そして”セックス”という単語もアホみたいに出てくる。肉体関係、それだけの関係ってところから始まる物語。
 俺個人の恋愛経験も割とそっちよりなので、同調しつつもちょっと違うと思う部分多々あり。少なくても、俺は主人公みたいに優しくないし真面目じゃない。上辺だけ飾って、口だけで軽い愛を囁いて。その気にさせてヤルだけヤル。そういう本当の”カラダメアテ”っていう感じが主人公にはないから、汚いと少なくても俺は全然思わなかったし、だからこそ物語が成り立ってるとも思う。ただの最低男のセックスストーリーになっちゃうしな、そんなだとw


 ただ、”恋愛”という要素がほっとんどないですこのゲーム。人間関係とかいう部分に終始してるので好いた惚れたがどうこうという話はほぼ0。
 セックスを逃げ場にする主人公、ヒロインたち。肉体さえ繋がってればその場限りは満たされるから・・・。といった感じで、もうリアル現代の恋愛って感じですなぁw一定の世代以下のいわゆる貞操観念?美味しいのそれ?って世代にはすごく共感できる話ではないかと思う。ただ、これに共感できる人種はこういうゲームやらねーだろとも思うけどw


 ただ個人的にはやはり主人公はマジメというか、優しいよね。作中でもそれはヒロインによく指摘されてますが。肉体だけの関係なら、心なんて要らない。その通りだと思うよ・・・そんなもの、煩わしいだけだよ。最初はそう思ってたはずの主人公も、やはり人の子ですね各ルート突入後はそんな思考微塵も無くなってる気がするw

 以下各ルートごとにレビューネタバレ多数。



○栗原透子

 一応メインヒロイン、かな?この子と一度肉体関係を持つことから物語は始まります。
 地味子ちゃん、素はまぁエロゲーだからだけどかなり可愛いメガネっ子。クラスの人気者の幼馴染の金魚の糞的存在。誰も気にしない、クラス40人の1人それ以上でもそれ以下でもない。そんな子です。
 自分を求めてくれるなら、肉体関係だけでもかまわない。そこには確かに自分を求めてくれる人がいるから、与えてくれるぬくもりがあるから。
 ただ、やはり高校生というか主人公が真面目だから。こんな関係でいいのかとか相手にとってどうこう自分にとってどうこう優しく考えちゃうわけですよ。
 エンディングは、そんな歪な形で始まった二人の関係がようやくお互い同士向き合って始まるところで終わります。HappyEndではないし、でも未来があるならいい終わりじゃないかな。
 別ヒロインでもいえるけど、とにかく人間同士のかかわりとかが描かれる作品なので好いた惚れたじゃない。お互いの隙間を埋めるために始まった肉体関係。でも、二人の求めるものは微妙に食い違っていて。ん〜、リアルw

 この子ルートではそうでもないけど、他の子ルートではちょっと優しくすると彼女面し始めるとこが本当にリアルです。そうです世の中のセフレとはそういうものです。男はセックスしか求めてないけど、女の子にとってセフレって位置は彼女の次善なんだよね〜っていう。昔に女友達とサイゼで一晩セフレ談義したこと思い出すわw

 不器用な二人が始めた歪な関係。それは様々な問題と葛藤を生み出し互いに傷つき傷つけられて進み、ようやく全てを乗り越えた二人が始めて向き合う。
 こんな始まり方した関係だから、主人公は透子をどのルートでも傷つけまくるし、主人公もそれに悩む。でもじゃあ、”傷つけない選択”なんてあるのかっていうとそれには疑問符。でも大半も出来事を受け入れる、透子はすごい強い子。普段はドンくさくて目立たないトン子なのにね。そんな物語。最高でした。




○榊しのぶ
 透子の親友で幼馴染。親友が不良(主人公)の恋人というよりはセフレ的な位置にあることに気づいたんだけど・・・。
 潔癖な彼女は、ある自分の犯した罪(客観的に見れば罪でもなんでもないんだが)をとことん苛み、自分を傷つけようとする。
 かなり病んでます。リストカッター化。その原因は主人公にもあるから、主人公は見捨てられず。しかし自分のできることなんてのはなにもなくて、ただただ彼女の隣にしか居れずに。

 知ってしまった以上、見てみぬ振りはできない。でも自分にできることなんてせいぜい逃げ場になるくらいしかなくて。っていう主人公の葛藤。最高だね、暗いね。そして、居ますよねこういう子。ってかつい最近まで身近に居た気がする俺としてはもう主人公に感情移入しまくり。

 心と心が交わることは永遠にない二人。でも、平行してずっと隣にいるなら、指を伸ばせばその先にはかならず触れる指があるはずだからと。う〜ん、最高だよ暗過ぎるよ!HappyEndでは全くなく、そしてこれから先未来に希望もあるかどうかはわからないけど。ただ、それだけが真実として。
 天使のいない12月、奇跡もなにもありゃしません。ただ物悲しい現実がそこにはあるだけ。

 この子のルートではセックス=贖罪。自らを汚すことで自らの罪を刻みつけようとする。結局、リストカットが陵辱されることにすげ変わっただけで根本的にはなにも変わっていない。そんなしのぶを前に、主人公に何ができるのだろうか。自分がしのぶを抱くことを辞めてしまえば、また彼女は自らを自らの手で傷つけ壊れていくだろう。彼女を抱くことは正しいことではないけど、それに変わる手段も見つけられない。主人公に彼女は救えない、ただ傍にいてやることしかできないその葛藤。
 一番の欝ルートかもしれないしのぶルート。冒頭共通ルートや他ルートの彼女とは見違えるほどの壊れっぷりです。



○麻生明日菜
 このお姉さんは、彼女の心の闇が明らかになるのがストーリー終盤なので・・・どうなんだろうねぇ。明らかになって、うんとりあえず主人公が俺なんもできないよ、でも傍にいたいのよってなきついて終了。
 年下を誑かして騙した気になってる馬鹿な女と、騙されてると知りながらそれでもその子の隣にいようとする馬鹿な男。っていう終わり方、その関係に未来はないのかもしれないし、馬鹿同士以外としっくりくるのかもしれない。

 彼女ルートで、透子が「私を見てない、私を通してずっと遠い麻生さんを見てる。抱いてるときくらい私の身体を抱いて」っていうようなセリフを吐いたのが本当に印象的だった。

 ストーリーはなんか一番エロゲーっぽかった。ストーリー終盤まであんまり問題ちゅう問題がないからね。透子とのことで主人公は悩んでるけど、明日菜はそれを受け止める優しいお姉さんってスタンス、それがまた主人公を悩ませるんだが^^;

 愛されないのなら、自ら愛を掴みに行く。その悲しいまでの前向きさが、結果彼女と彼女の周りの人間を傷つけている。ということに彼女は最後まで気づかないままですが。こういうとこまでとことんリアルに作ってある物語。全ての問題が解決してハッピーエンドなんて、ご都合主義もいいとこですよねそうこれこそリアルって感じで。
 それでも、寄り添って歩ける今と少し先の未来があるなら、それはそれでいいんじゃないかなっていう。



○須磨寺雪緒
 超タイプなにこのいい女!なんだけど、ヒロイン中一番精神がいっちゃってる。フリをしてる子。主人公同様に他人を遠ざけ、自らの生に固執しない子。この子のルートが個人的には一番楽しかった、超好みっていうのもあるけど。
 とりあえずいつ死ぬかわかんねー女の幻影に捕らわれる主人公テラ可哀想すwなんだけどこんな女と結果的にくっつけるならそれもありか?
 この子ルートやって思ったけど、とりあえずこの主人公女運無さ過ぎてウケるw可愛い子揃いではあるんだけどねエロゲーだし。女運は間違いなく悪いと思われる。

 結局彼女の心の中にある闇はわかったけど、でもそれ俺にはどうしようもできないねっていうお話。ならもう二人で死んじゃおっか、俺も生きる意味とか持ってないから。で本当に屋上から飛び降りてこのまま二人死んで終わりかと思ったじゃないw
 最終的には一番まともにくっついて終わる気がする。「もう一回死ぬ?」「いやもういいよ」のくだりはいいね、二人の未来が明るいって示唆させてるよ。

 とりま、超可愛い最高にいい女だけど最悪に面倒な子。いつ(自らの意思で)死ぬかわかんねー女目の前にして、関係ねーやで済ませられない主人公もすごいと思うけどね。ただ数回抱いた程度で大して関りのない女に対して。やっぱり主人公はマジメだよ、いい子だ。

 ただ最終的に、色々な悩み苦悩を全て解決するような終わり方だからすっきりしてるかも。てか雪緒可愛い、可愛い過ぎる。




○葉月真帆
 ざ、友達の彼女。妹の友達。ダチの彼女ってことで恋愛話は出てくるから一番恋愛要素はあるけど、それが主人公とヒロインの関係のことではないのでストーリー的には違うかな。
 エンディング後も二人はくっつかないだろうねってパターン。形はどうあれ、他のヒロインとは一応くっつくのでちょっと一人だけ赴きが違う。

 永遠に2番目、それは一番ではないけど、だからこそずっと一緒に居られる関係。作中ではそれを血縁の兄弟のようなって表現してるけど、まさにそんな感じだね〜。

 話としては、ダチの彼女なんだけど、その関係が価値観の相違から上手くはいってなくて。だけど寝取り寝取られのドロドロした感じでもなく、すげぇリアルに表現してるよな・・・そこら辺にも転がってるよくある話だもんこれ。

 後輩可愛ゆすな俺には真帆ちゃん好きだったんだけどね。うん、話面白いwこの子だけ、唯一表面上特に問題ないんだよね。結果その結論にたどり着く高校生ってどうなの〜?とは思うけど。
 とにかくこの子のルートは誰も病んでない。主人公の斜に構えてる感も、とにかく気持ちいいならいんでない?ってフランクなものになってるし。



○妹ちゃん
 ルートはなし。これもこの作品の特徴だけど、嫌なほど”リアルな血縁妹”です。兄貴のこと嫌いじゃないんだけど、普段から憎まれ口叩き合う。ああ、実際の兄妹ってこんな感じだよねwっていう。雪緒に憧れ以上の感情を持っていて、彼女のルートだと結構物語にも絡んできます。そして、病みますw
 本当、真帆以外の女キャラ全員病むゲームすw



○各ヒロインエンディング要約

透子:ようやく二人向き合って始まるところで終了。
主人公→透子と恋人として向き合おうとする。
透子→元々主人公に惚れてます。

しのぶ:二人の道は交わらないけど、それでも隣を歩いていく。
主人公→しのぶの傍にいてやりたい。
しのぶ→主人公のこと嫌いじゃない、スキ。ただ・・・みたいなね。

明日菜:二人一緒に歩いていく、それが最良の関係とは呼べないのかもしれないけど。
主人公→明日菜の隣にいたい。好き。
明日菜→主人公がとりあえず隣に居てくれるならいい。

雪緒:二人で一緒に歩いていくんだろうな〜。
主人公→恋愛感情はあるか微妙。ただ一緒にはいたい感じ。
雪雄→同上。

真帆:永遠の2番目、でもだからこそ、離れることはない。
主人公→いつまでも見守っていたい妹みたいな存在。
真帆→頼りになるお兄さん。傍で見守ってて欲しい。

 って感じで、HappyEndは0だぜ。透子と雪緒に関しては未来は明るいのかもしれんけど。基本的に主人公は誰にも惚れてないし、主人公も透子以外には惚れられてない。本当に好いた惚れたが出てこない物語です。




○総評

 とりあえずとことんリアル嗜好の暗い物語。人と人のつながり、関係の持ち方っていう部分が全面。
 ヒロイン全員どこかしらおかしいです、主人公もそれを真正面から受け止めちゃう優しい子。ひねくれてるけどね。

 正直、こんな面倒な女になんで関わるんだよって思っちゃう俺は。ファーストコンタクトの時点で、変な臭いするから雪緒とか透子とかとは確実に関わりたくないでしょう常識的に考えてw



 暗い話が好きなら迷わず薦められる。萌えゲーやHappyEndが好きならやっても気分悪いだけだと思う。リアルな話ダメな人もNGかな?

 俺は大好きだった超俺好み。ただ詩的な”天使のいない12月”ってタイトルとは裏腹に中身がすごく現実だからね。まぁ天使なんていねーんだよ、ただ生き辛い現実と人間関係がそこにあるだけでって話だから外しちゃないんだが、若干タイトル負けしてる気もする。

 主人公の女運の無さもトップクラス、今までこんなにも女運のないエロゲ主人公はいただろうか?スクイズの誠はまぁ自業自得だけど、これはな〜。主人公も大概だけどそれ以上にヒロイン全員どっかおかしいとかw


 ただリアルな話も好きだし、なによりこの人間関係・繋がりにもがき苦しむ暗い話とか本当に俺好みだったので俺にとっては最高の良作でした。
 ”じゃあ俺はどうすればいいんだよ”みたいなことで主人公が悩み苦しんでるところとかね。正解の無い回答を求められてる感じ、遥と水月の間で苦しむ君望の隆之みたいで最高だったよ。君望が好きなら多分ツボにハマルんじゃないかな?人を傷つけずに生きるなんてできないんだよって。そういう話でもあります。

 しかし君望と違うのは、恋愛とか好き惚れたって部分が本当にすくないってこと。男女間の人間関係ではあるんだけど、恋愛関係とはまた違う。
 好き惚れたは、身体を重ねるうちに透子が主人公に惚れてるくらいです。それすら、本当の恋愛感情と呼べるのかは怪しいけどねこういうキャラだし。まぁそもそも”本当の恋愛感情”ってなによとか突っ込まれたら俺も答えられないそういう問題。無理に定義つけるようなことはないしそういうことしていい作品でもない。




 ここからはあくまで超個人的な感想。

 肉体関係が全面に出てくる作品。だけど、やっぱり”肉体だけの関係”を持つなら相手のことに踏み込むべきじゃないし自分の中で線引きすべき。
 俺自身そうしてる、割り切ることって大事。それが”彼女”と”セフレ”の明確な差だと思ってる。
 少なくても俺は、ただヤルだけの関係の奴にはそれなりの情しか持ってない。彼女とは明確に違う。彼女のためになら自分を犠牲にするけど、セフレのために自分を犠牲にしない。時間でもなんでもね。自分とセフレに同じ危険が迫ったら、迷わず見捨てられる。その冷酷さが必要だと思う、肉体だけの快楽だけの関係を持つならね。

 作中の主人公にはそれがない。高校生のガキがそんな冷酷さ持ってても怖いけどさ。行きずりや成り行きで抱いてしまった相手に情を移して、その子を傷つけたくないなんとかしたいって思っちゃってる。それは人として正しいのかもしれないけど、肉体だけの関係だと言うならやはり不要なことだと思うな。
 ゲームだからそんなことにはならないけど、リアルでこんなことしてたら間違いなくそのうち女の闇に引きずられて壊れるよ?主人公みたいな生き方。

 それができないなら全うな恋愛すべきだよ。セフレは手軽で楽だけど、一歩間違うと人間性・人間関係ぶっ壊す要因になる。実際作中で透子が主人公に惚れ始め彼女面し始めるように、本当に肉体関係だけで満足し続けられるのって男だけだから。

 その辺りも本当にリアル。この物語、違う人がやればまた別の感想を持つのかもしれない、俺には感動する話でも涙を誘うゲームでもなかった。他のレビューみるとそういう意見もあるから、本当やった人の人生とか価値観でまた感想変わると思う。全てのものにおいてそれはあるだろうけど、このゲームはそれが顕著に出ると思う。




 最後に、本当良ゲーだった前評判見てハードル高めで始めたけど全く期待を裏切らなかった。最高に楽しめたしいい物語だった。

 ただ、内容が内容だけに人は本当に選ぶと思う。
posted by シュレディンガーの猫 at 03:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム(美少女・R18) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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